第68章 際会
流れる時に身を委ねるように、目を瞑り涼太の心臓の音を聞いていた。
鼓動はまだ、速くて。
シャツ越しに感じる彼の身体は、熱いままその熱を保っている。
涼太に夢中になっている内は試合に負けた悔しさも考えずに居られるって、なんてゲンキンなんだろう。
でも……このひとが好き……。
このひとのために出来ることをしたい。
支え続けていきたい。
マクセさんに課題を出されたあの合宿の時よりも、ずっとずっとその想いは強くなっている。
何が正しいかなんて分からないよ。
今出来る事を一所懸命にやる…… 。
そう、決めたんだ。
苦しいほどに力の込められた腕は、私を捕らえたまま離さない。
言葉を交わすことも無く、ただお互いの熱を感じあっていた。
「……りょうた……」
「ん……?」
でも流石に、彼の滾ったモノが気になって仕方ない。
これは、私がしてあげるべきなんじゃ……。
「あの、その……これ……」
強く密着している体勢で手を動かすのすら困難だったので、腰を動かして刺激を与える。
ピクリと涼太の身体が反応した。
「んーん……いいって……今日は……」
「だッ、だってこのままじゃ眠れないんじゃ……」
2人の身体を強く結んでいた腕の力が緩む。
顔を上げて目を合わせると、涼太は優しく微笑んだ。
「これは生理反応だから……。
ホントにオレは今日、シなくて大丈夫っスよ。
分かってて、泊まらせて貰ってんだから」
「で、でも……」
「その代わり、出来るようになったら……
覚悟してて欲しいんスけど」
「……はい」
「やったね」
無邪気に笑うその姿にも、目を奪われる。
「しっかし明後日、大学生にみわが狙われないか心配っスわ……」
それはこっちのセリフだよ、涼太。
その後は、離れたくないという涼太を説き伏せて全身マッサージをしてから、また抱き合う。
お互いの中に熱を燻らせたまま、眠りについた。