第67章 想い
翌朝、オレは案の定寝坊し、怒られながらバスに乗り込んだ。
みわは誰よりも早く起きていたらしい。
ホントに、恐れ入る。
バスには笠松センパイ達も一緒に乗り込んで、なんだかまた同じチームで試合に出るような気がしてきた。
「なんか、センパイ達も試合に出るみたいっスね」
と言ったら、甘えた事言ってんじゃねえと肩パンが飛んできたけど。
久しぶりのこの感じに、周りの人間も笑っている。
「センパイ、大学はどうスか? もう早速権力者に……」
「んなわけねぇだろ。またイチから雑用だよ」
「まあ、なんか新鮮だよな」
笠松センパイと小堀センパイは同じ大学の同じチームだ。
この2人が1年生で、センパイにこき使われて雑用をしているなんて……にわかには信じ難い。
オレが海常入ったばかりの時はナマイキ言ってロクに雑用とかしなかったからな……。
今更ながら、未熟過ぎた自分に反省……というか、素直にあの頃の自分が恥ずかしい。
きっと、まだまだ……青峰っちなんかよりもずっと強くてずっと強いヤツが、世界にはゴロゴロいるんだろう。
あんまりピンとこないけど。
そんなヤツらともし対戦する事になったりしたら、オレの中でまた何か変わんのかな。
「オレも大学行って、新しい事始めてさ。
ストバスなんかも始めたんだよ」
「へーっ、そうなんスか。意外っスね、笠松センパイがストバスとか」
「結構強いんだぜ、うちのチーム。
この間も大会で優勝して、今度"特別な試合"に出れる事になったんだよ」
「すげえ、さすがっスね」
「ま、その話もIHが終わったらゆっくりな」
その"チーム"がまさかあんな構成で、"特別な試合"とやらがあんな事になるなんて……今のオレには全く予想のつかない話だった。