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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第67章 想い





「こんばんは、みわさん」

もう随分日が長くなった。
この時間でも、まだまだ辺りは明るい。

薄暮時に見る水色の髪は、ぼんやり浮かんで妖精のように幻想的だ。

「ごめんね黒子くん、疲れてるのに」

「いえ、大丈夫です。どうしたんですか、突然」

「……この間の、お返事をさせてもらおうと思って」

「……少し、歩きましょうか」

覚悟していたような、神妙な口調だった。


今日は梅雨の晴れ間。
傘を持ち歩かなくていいって、楽だな。

晴れ間といえども雲は厚く、空は見えない。
梅雨明けにはまだ少し時間がかかりそう。

微かに鼻をつく雨の匂い。
また、雨が降ってくるかもしれない。

「……あの、この間聞かせて貰った、黒子くんの気持ち……」

「はい」

言わなきゃ。
ちゃんと、伝えなきゃ。
勇気を出して。


「……ごめんなさい、私……黒子くんの気持ちに応えることは、出来ません」

「……」

「私、何があっても……涼太の事が好き……別れる事は、できない。
あの、でも黒子くんが嫌とかどうこうっていうのじゃないの、それは信じて」

「そうですか……」

「……ごめんなさい……」

「黄瀬君はシャラッとしてるし、勉強はてんでダメだし、思い込んだら周りも見ずに真っしぐらだし」

「……」

それも涼太の持つ一面。
なんとも言えず苦笑した。

そんなところも、好きなんだけれど。


「……それでも、きっと彼は誰よりも貴女の事が好きだ」


……そう言う黒子くんの表情は、穏やかで。
涼太の魅力は、長年一緒にいる黒子くんの方が、よく分かっているのかもしれない。

「……黒子くん」

「ボクも、みわさんの事が好きです。
簡単に忘れる事は、出来ないと思います」

「……ごめんなさい」

1日も早く、忘れて欲しい。
そして、素敵な人と出会って……幸せになって欲しい。

「みわさん……」

「……はい」

言葉が、うまく出て来ない。
喋って、黙って。
また喋って、黙って。
まるで沈黙のリレーのようだ。



「……黄瀬君と別れたくなったら、直ぐボクに相談して下さいね」

それはとても悲しい、笑顔だった。

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