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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第67章 想い


「んじゃ帰るわ。さつきに言っといて」

とサラリと言った青峰さんは、本当に洗面所を出た足でそのまま帰ってしまった。

……幼なじみって、こんな感じなんだろうか。

滑り止めと手すりの付いた階段を上り始めると、上から涼太が下りてきた。

「あれ、青峰っちは?」

「帰っちゃった」

「自由っスねえ」

涼太は昨日のふたりの事を知らない。
中学時代から、あんな感じだったんだろうか?

「オレも顔洗ってくるっス」

「あ、うん。階段下りてすぐ左だよ」

「サンキュ」

どことなく機嫌の良さそうなその後ろ姿を見送って、私もさつきちゃんの部屋へ戻った。



「あ、みわちゃんお帰り」

さつきちゃんは通学鞄の整理をしているようだ。

「みわちゃん、ごめんね昨日は」

「あっ、ううん、私も眠かったからすぐ寝ちゃって」

なんとなく、あの光景を見てしまったからか、気まずい。
結局あの後ふたりはどうしたんだろう。

「大ちゃん、ホントに寝相悪いから……」

青峰さん、起きてたんだよ。
さつきちゃん、昨日青峰さんの腕の中で眠って、どんな気持ちだった?

色々な言葉が頭を巡るけれど、幼少期の頃から一緒にいるふたりに、軽々しく口を挟んではいけないような気がした。

きっと、青峰さんだって思う所があって、気持ちを隠しているんだろう。

ふたりの事だもん。
また、さつきちゃんが相談してくれた時に、答えるべきなのかな。

「青峰さん、帰っちゃったよ」

「ええ、またぁ? もう、大ちゃんってば、折角みわちゃん達が来てくれたのに」

文句を言いながらも、少しだけホッとしたような表情だった。



「またすぐに会えるよ、次はIH会場で」

「────そうだね、またコートで会おうね!」



今年のIH、バスケットボールは京都府の会場で行われる。


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