第67章 想い
「ん……」
部屋が暗い。
ここ、どこだっけ……。
……暗い部屋は、嫌い。
早く、電気をつけたい。
でも、電気がどこにあるかが分からない。
あれ……いつもなら、ここにスタンドライトが。
あ、そういえば……さつきちゃんの部屋だ、ここ。
皆でビデオ観て……
そのあと……どうしたんだっけ……
足元のふわふわのラグがあったかい。
ああ、私ここで寝ていたのか。
眠い……。
まだ夜みたいだし、もう少し寝よう。
こてんと横になると、すぐ近くによく知った気配を感じる。
……涼太……。
胸元に擦り寄って、嗅ぎ慣れた優しいおひさまの香りを深く吸い込んだ。
落ち着く。
スキ。
すき…………
「……きーちゃん、みわちゃん」
遠くで、さつきちゃんの声がする……。
「朝だよ、起きて」
朝。確かに、さっきとは違って目が痛くなるほどの光を感じる。
起きなきゃ。
パチリと目を開けると、目の前には見慣れた黄色の髪の毛。
……髪?
事もあろうに、涼太はささやかな私の胸の谷間に顔をうずめて眠っていた。
悲しくなるほど、薄い胸。
「……りょーた……起きて」
「んー……も少し」
そう言って涼太は顔をグリグリと押し付けてくる。
「ちょ、ちょっと、皆が見てるよ」
「きーちゃん、みわちゃんに甘えてる」
そう言ってクスクス笑うさつきちゃんを見上げると、彼女の胸には見事な果実がふたつ実っているのが改めて分かる。
柔らかそう。
どうせ包まれるなら、私だったらこんな胸に包まれたい。
私のは……同じ果実でも、ドライフルーツみたいに……小さい胸。
なんにも役に立たない……挟んで……あげる事も出来ないし、谷間も申し訳程度にしか出来ない。
仰向けになったら、皆横へ流れてしまってまるでぺったんこ。
以前にもコンプレックスである胸の事で私が凹んでる時、涼太は気にしないって言ってくれたけど……。
こうして胸に癒しを求めてくる涼太には、やっぱり申し訳ない……。
「……涼太、お願いだから起きて」
悲しくなって、ぺちぺちと涼太の頬を叩いて起こした。
ちょっとした八つ当たり。
ごめんなさい。