第67章 想い
それから、私たちは3人で今日の練習試合の録画を観た。
BGMとして青峰さんの鼾を聞きながら。
さつきちゃんはやはり着眼点が良く、同じシーンでも違う改善点が出て来て、とても勉強になる。
さつきちゃんも、同じことを言っていた。
それは多分、桐皇というチーム自体が海常とはまた全く異なった特色を持っているからだとは思うけど。
「今のはPGが……あ、きーちゃん」
「? あ」
気付くと、涼太も転がって眠っていた。
つい、ふたりでバスケトークが白熱してしまって……。
「思えばこんな時間だね。みわちゃん、今日はそろそろ寝ようか」
「うん、そうだね。ごめんね本当に泊まって行く事になっちゃって……」
「いいの、ワガママ言ったのは私だし。大ちゃん起こさないと。
帰るか男どもはリビングで寝て貰うんだ。ここは私とみわちゃんが寝るんだから」
「涼太も起こさないと……涼太、りょうたー」
ゆさゆさと身体を揺らしてもピクリともしない。
どうやらそれは青峰さんも同じようで、さつきちゃんがベッドに向かってアレコレと文句を言っている。
思えば、今日はこのふたりが対戦したんだ。
更に涼太は、遠い場所までの移動付き。
普段の練習とは違い、疲労が溜まっているだろう。
彼の脆い部分である足から始めて全身隅々まで優しく揉みほぐしていく。
「ん……」
軽く身じろいで薄く開いた唇から漏らしたその声は、不快感を表したものではないようだった。
全身を優しく揉み終わると、涼太は先程よりも深い睡眠に入っているのが分かった。
「あ、起こさなきゃいけないのに、逆効果だった……」
「もう、大ちゃんってば! ここはみわちゃんと私が寝るんだから! おーきーてー!」
さつきちゃんが青峰さんの両肩を掴んで激しく揺さぶっている。
あ、あれで起きないとは、なかなか……
「んー……ウルセーな……」
青峰さんはそう漏らして、さつきちゃんの両腕を引っ張った。
「きゃ……!」
桃色の髪が、ふわりと舞った。