第67章 想い
「良ければ、夏休みにでも来たらどうだ? ふたりで」
その魅力的なお誘いに、私もさつきちゃんも即答した。
夏は、笠松先輩の大学にお邪魔したり、最先端リハビリセンターにお邪魔したりと沢山の経験が出来そうだ。
そろそろ、自分の進路も考えないと……。
相田さん、木吉さんと連絡先を交換し、ふたりは日向さんと伊月さん、降旗さんを連れて帰って行ってしまった。
……伊月さんのダジャレ、ちょっと楽しみにしてたんだけどな。
それに、普段あまり話が出来ないひととも交流してみたかった。
でも、明日も早いのなら仕方ない。
……私たちも朝練だし……。
軽く自己紹介出来たから、よしとしようか。
名前も覚えて貰えたし、次に会えた時にゆっくりお話してみよう。
まさか自分がこんな風に他人と関わり合いになれるようになるとは思ってもいなかった。
これも全部……涼太の、おかげ。
さっきから少し触れている肩と腿が温かい。
そして、ふと気づけば場に残ったのは各校ふたりずつ。
ちらりと様子を伺うが、特に帰ろうとしているひとはまだいない。
「そう言えば、海常サンとウチは合同合宿の予定あるんすよね?」
「えっ、そうなんスか?」
やはり初めに話し出したのは社交性に富んだふたり、秀徳の高尾さんと涼太だ。
「ごめんね、今日合宿所が確保できたから、明日言おうと思っていたんだけど。
IH終わった後の合宿は、秀徳さんと合同だよ」
「へえ、楽しみっスね、緑間っち!」
「……うるさいのが増えて憂鬱なのだよ」
「真ちゃん、"増えて"って、もしかしてもうひとりは俺の事!? ひでえ!」
そう言いながら笑う高尾さんはなんだか嬉しそうで。
年末のおそば屋さんでふたりを見かけた事を思い出した。
は、ハッキリ聞いたわけではないけど……このふたりは本当にお付き合いしているんだろうか……。
全然そんな感じはない……。
なんか、もしかして私……何かを盛大に勘違いしてる?
……夏合宿で機会があったら聞いてみよう。