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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第66章 和


今日は何が何でも聞き出すつもりだった。

もしみわが渋ったら、伝家の宝刀「誕生日だから」を使ってでも。

「……涼太には、これ以上隠しても仕方ないと思うから、言うね」

「そうして貰えると助かるっス」

「バカにしないで、聞いて貰える?」

「モチロン」

一体どんな理由があると言うのか。



「……どこから言えばいいんだろう……」

みわは机の上で指を絡めながら、迷った様子で言うのを躊躇っている。

思わず、その手を取った。

「あっ……」

「手、こうしててもいいっスか?」

その小さな手を自分の手の中に包むと、指先がひどく冷えているのが分かる。

相当緊張しているようだ。

「いいっスよ、まとまってなくていいから、少しずつで」

「うん……」

指先が少し震えている。




「お前は魔性だ。
お前を見ると、男は理性を失くして狂う。
お前は男を惹きつけて惑わせる……」





「……?」

突然の台詞めいたその発言に、恐らくオレの頭の上にハテナマークが飛んだように見えたんだろう、彼女が少し不安そうな顔になった。

「あ、いいんスごめん、続けて」

「……私が性的な被害にあったりするのも、全部、私が引き寄せてること、なんだって」

まるで、ひとつひとつの単語を噛み締めるように、自分に言い聞かせるように紡いでいく。

「そ、そんなバカな事あるわけないじゃないスか」

ちょっと待って。突然何言ってんスか?
それって、今まで遭ったツライ事が全部自分のせいだって言ってる?

それはダメだ。一番向かってはいけない方向。

「ううん……そう、なんだって」

「なんで? 誰かに言われたの?」

「思い出したの。私、お母さんに昔からそう教わって来たのに」


マクセサンは、オレにこんな事も言っていた。

『幼少期に親から刷り込まれた記憶というのは、根深く彫り込まれているものだ。
それは、宗教となんら変わりはない。周りの人間が"そんな事で"とすら思うようなことでも、自殺する程悩んだりするものなんだよ』

まさに、これは母親の呪縛のようなものか。


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