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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第66章 和


「え……ええええええええ!?」

台所に戻り、ようやく現実を受け止めたのか、みわが遅れて悲鳴を上げている。

なんか、あのまま食事の支度をして火傷でもしないか心配だ。

「みわ、オレも手伝うっスよ」

目が合うと、驚いた表情のまま固まったみわがロボットのように動き出す。

「エ、エット、オ風呂ニシマス? ゴ飯ニシマス? ソレトモ」

「みわ、その流れは多分イケナイやつっスよ」

「あわわわ……」

みわのひとりコントに、もう笑いが我慢できない。

「ぷっ、なんでそんなに緊張してんスか? いつも通りでいいじゃないスか」

「し、してないってば!」

「かえってイジめたくなるから、やめて?」

手を伸ばして柔らかい耳朶にそっと触れると、その熱さに少し驚く。

「ひゃあっ……」

ベッドで聞かせてくれるような甘い声とはまた違う声に、思わずまた笑ってしまった。

「ひ、ひどい! からかって!」

「ごめんごめん」

「もう、すぐ終わるからあっち座ってて!」

「ハイハイ」

可愛いからつい遊んでいたら、台所から追い出されてしまった。



「お、お待たせ」

言葉通り、みわはスープを持ってすぐにやってきた。

「冷めないうちに、召し上がれ」

「ん、いただきます」

「あ!」

「ん?」

「お、お誕生日おめでとう、涼太」

少し伏し目がちに照れながらそういう姿が可愛くて。

「……アリガト、みわ」

愛情たっぷりのご飯は、どこの一流シェフが作る料理よりも美味しくて、心に沁みた。




「……ホントに、ちゃんとプレゼントの準備もしていなくてごめんなさい」

食後のお茶を頂きながら、テレビもつけずに向かい合って座っている。

「いや、プレゼントは今貰ってるっスよ」

オレがふたりの時間をリクエストしたんだから、これ以上のプレゼントはないんスけど……。

「わ、私の部屋に行く?」

「ん? いや、どこに居てもふたりきりだから、ここでも構わないっスよ?」

「じゃあ、ケーキ食べる?」

「あるんスか? 嬉しいっスね」

「うん、持ってくるね」

そう言っていそいそと台所に消える。

どうやら、食事をしている内に動揺も少しは落ち着いたようだ。


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