第14章 花火
……また強引に誘ってしまった。
この、定番と言っても過言でない流れ。
みわっちが断れないの、わかってるから。
ズルいんだ、オレは。
オレ、彼女の身体に手っ取り早く快感を覚えさせて、それで繋ぎ止めておこうとしてるんじゃないのか……?
「ねえ、あ、明るくない……?」
「そりゃバスルームっスからね」
「……洗うから、向こう向いてて!」
「洗ってあげるっスよ」
勝手にオレのシャンプーを手に取って泡立て、みわっちの髪につける。
いつもはみわっちが来ると母親の説明のもと、女性用のシャンプーを使っていたけども、今日はオレのやつ。
オレと一緒の香りになるように。
「わわわっ、自分でやるから大丈夫!」
頭皮を優しくマッサージ。
女の子の髪は大事っスからね。
「っ……」
「……みわっち?」
身体が反応してるけど、もしかしてこれでも気持ちイイんスか?
確かに、頭皮は性感帯って聞いた事がある。
オレに気付かれないように声を押し殺して我慢してる姿に、すげーそそられる……
気付かないフリをして、ハナウタ混じりにシャンプーを洗い流し、水気を切ってトリートメントを毛先につける。
「ほんっとに、白い肌っスね……」
「……ん……」
指を背中に滑らせると微かに聞こえた、声。
トリートメントを流したら、最後はコンディショナー。
頭皮につけないようにして毛先を中心になじませ、流す。
「じゃあ、次は身体を……」
「黄瀬くんの! 番です!」
「え?」
「交代、です!」
みわっちは凄い勢いで素早くオレを座らせ、オレがさっきやったように、シャンプーを泡立て始めた。
アレ?
ちょっとこれからお楽しみタイムなんスけど?
鏡が湯気で曇ってて、みわっちの顔は見えない。
彼女の指がオレの頭皮を優しく撫でた途端、頭から背筋まで走るような快感。
「!」
思わず声を押し殺した。
今の一瞬で勃ちそうになった。ヤバい。
なんだよ、オレみわっちのこと言えねーじゃん……。
「黄瀬くん、髪つるっつるだね……スゴイ」
「ハゲてるみたいな言い方やめて!?」
「あはは、ごめん違う違う。流すね」
シャンプーを流す時に触れる指先も柔らかくて、優しい。
だーから、オレが感じてどうすんだってば!