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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第66章 和


突然のみわの発言に、動揺を隠しきれない。
唇が乾いていくのが分かる。


「距離を置くって……それって、別れたいって、事っスか?」

さっきまでのキスで潤っていた口の中は、もうカラカラだ。

言葉も途切れ途切れになり、なめらかに話せていない。




「……分からない、けど……」

そう言ったみわの目は、体育館で見せたような強く輝いたものとは正反対のものだった。

バスケに関してあんなに強さを見せていたみわが、オレとの事ではこんなに迷っている。



「黒子っちと付き合いたい?」

「そうじゃないの……今は、バスケ部の事だけ考えていたい」

「オレとの事は、余計な事?
それは距離を置いたら解決することなの?」

焦りが、口調を強くする。

やっぱり、遠い。
こんなに近くにいるみわが遠い。



「……うぅ……」

みわは、苦悶の表情を浮かべ、頭を抱えてしまった。

「みわ、大丈夫!?」

「あ……頭が痛くて……」

怪我もしているし、今日は色々な事があって疲れているんだろう。

今この流れで話していても、話が良い方向に転がるとは思えない。


「オレ、今日は帰るから。体調がいい時に、ゆっくり話そう」

「……ごめんなさい……」

「だから、謝るのはオレの方っス。ごめんね」

ズルいのはオレだ。
わざと、この話をしないように仕向けてる。

罪悪感を隠すように柔らかい髪にふわりとキスを落としてから、みわの布団を敷いた。



「少し眠った方がいいっスよ。オレは勝手に帰るから気にしないで」

怠そうな身体を横にするのを手伝い、掛け布団をかけてやると、暫く目を閉じていたみわはすぅすぅと寝息を立て始めた。

今、彼女に寝るように勧めたのだって、時間を置いて考え直して貰うためだ。



……距離を置きたい、か……。



「せっかくここまで縮めた距離……置いてたまるかよ」

この手は絶対に離さない、そう決めた。

オレ、諦めは悪いんスよ。


再びその寝顔に顔を近づけ、今度は大好きな唇に軽く口づけをしてその場を去った。



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