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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第66章 和


「ん……ッ!」

みわ、どうしたんスか?

濡れた音が、静かな室内に響く。
無理矢理抱き寄せた身体が熱い。

「……ゃあ……」

腕の中のみわは、右手1本でオレの胸を押し返そうとしている。

そんなのは御構いなしに腰を密着させると、更に奥を探るように、舌を口腔内に這わせた。

「ん、ぁ」

みわの身体はピクンピクンと反応している。
感じてくれている、はず。

触れ合っている唇は熱い。
それなのに、みわをとても遠くに感じる。

「…………や……ッ!!」

「……っ」

ガリッという感触とともに唇に鈍痛を感じ、渾身の力を振り絞ったと言わんばかりの勢いで、みわはオレを突き飛ばした。

「……みわ」

噛まれた部分から、じわりと口の中に血の味が広がっていく。

「や……やめて。これ以上、考えたくない」

「どうして? みわ。ちゃんとオレに謝らせてよ、今までのこと」

「も……分かったから。お願いだからもう、その話はしないで」

こんなに頑なに拒み続けるみわは初めてで、正直どうしたらいいのかが見当もつかない。

……いや、あきサンとの時にも、似たような状態になっていた気がする。

みわ、本音を隠したいんスか?

それとも……

「もう、オレの事嫌になった?」

みわはふるふると首を横に振る。

小さな唇を僅かに開き、オレに聞こえるかどうかの音量で、呟いた。

「そうじゃ……ないの……でも……もう、大丈夫だから、もう」

その懇願にも似た言葉に、胸がどうしようもなくギュウと締め付けられた。

オレは、みわを傷付けていたんだ、ずっと。
オレが気付いていないところで、傷付いてた。

こんなにオレの事を想っていてくれている、大切な大切な子を。

「みわ……ごめん……」

その細い身体を包むように抱きしめた。




「だから……私たち……しばらく距離を置きたいの」

腕の中から聞こえたのは、何かを覚悟したような声だった。

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