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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第66章 和


「みわッ!!!」

倒れている3人に駆け寄ると、一番上になっているスズサンが起き上がった。

「ったー……」

手にはシーツのような大きな布を持っている。
これに足を取られたのか?

「スズサン、怪我は?」

「あ、大丈夫だと……」

無事だったスズサンにはどいてもらって、その大きな布も放り投げた。


「みわ! キオサン!」

ふたりとも、動かない。
以前の事件がまるでフラッシュバックのように蘇り、オレの手は震えていた。

「きゅ、救急車ッ!」

誰かの声が響き、辺りが騒然とする。




「みわ!!」

「うぅ……」

起き上がれない状態のみわを、優しく起こす。

「みわ! 大丈夫っスか!?」

「イ、イタタ……」

みわは、左手首を押さえている。

「みわ、見せて」

「私は大丈夫……キオちゃんを、お願い」

そう言われてキオサンの様子を確かめるが、下敷きになってしまった彼女の意識はなかった。

「キオサン」

揺らさぬよう身体を起こすと、浅いながらも呼吸は確認できた。

遠くからサイレンの音が聞こえる。
ああだから、ちゃんと応急手当でも出来るようになっておかねばならぬのに。

倒れていたみわを見た途端、彼女がオレを庇って刺された時の情景がリアルに頭に浮かんで、軽いパニック状態になってしまっていた。




救急隊員の姿が見えた。
既に周りには人だかりが出来ており、先生達はその集団を宥め、散らす事に集中していた。

みわに状態を確認している救急隊員に、小さい声で話しかける。

極力小さく、周りに聞こえないように。

「……倒れている彼女は、妊娠しています」

隊員は少し驚いた顔をして、分かりましたと頷いた。

「……え……」

みわも、驚いてオレを見ていた。

「……みわ、後でちゃんと話すから」


3人は、一度病院で検査をする事になり、搬送されていった。


結果、スズサンは足に軽く打撲。
キオサンは頭を打っていたので心配だったが、特に異常はなく身体の打撲程度で済んだようだ。

ふたりに挟まれる形になったみわは……左手首を骨折していた。



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