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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第66章 和


「おはよう、みわ」

「おはよう、黄瀬くん。
昨日、寝ちゃってて連絡出来なくてごめんね」

「いや、それはいいんスけど……」

みわはいつもの笑顔。
でも、昨日もコールバックはなかった。

避けられているんだろうか。
でも、彼女の表情を見ても特段そういう事は感じられない。

でも、この感じ……心ここにあらず、というか……。

いや、それも違う?
現にいま、笑顔で挨拶してくれたじゃないか。

マネージャーとしての仕事は完璧だ。
それはもう完璧すぎるほどに。

一見、いつも通りのみわ。

なのに、なぜだろう。
みわが、みわじゃないような感覚。
みわの中がからっぽになってしまっているような感覚がある。




「あ、黄瀬先輩おはようございます」

「スズサン、昨日の事みわに言った?」

「言おうとしたら、もうご存知でしたよ? 黄瀬先輩が話したんじゃないんですか?
全然焦った様子も怒った様子もなくって、普通の反応だったからつまんなーい」


……知っていた?
昨日、黒子っちがみわと会っていた事を考えると、黒子っちが言ったというのが自然か。

それなのに普通に振る舞って?
いや、違う。


普通そうに見えるからおかしいんじゃないか。




みわは、シューティング練習のボール渡しを行っている。

彼女らしく、記録をつけながら。
相変わらず、全く無駄のない動き。集中しているのが分かる。



練習が終わり、モップがけをする姿もいつもの通りだ。

……でもなんとなく、何かが起こっている気がする。

正体の分からない胸騒ぎに、思わずみわの肩を強く掴んで振り向かせた。

「ねえ、みわ。今日練習終わったら、オレの部屋に来て欲しいんスけど」

「え……?」

何を言ってるのか分からないと言った表情。

「お願い。来て」

みわが、手の届かないところに行ってしまう気がして。


みわは、不承不承と言った感じで小さく頷いた。



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