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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「く、黒子くん?」

温かい胸。
息が荒いのか、少し上下している。

おひさまのような涼太の香りとは違う、なんだか少しだけ甘いような優しい香り。

頭の中は大混乱なのに、何故か冷静にそんなところを見ている自分がいた。

「みわさん、って呼んでもいいですか」

「え、あの、なんで、くろこくん」

背中に回された腕が、背中を優しく撫でている。

不思議と恐怖はないけれども、とにかく心臓が不安で落ち着かない。



「みわさん、ボクと付き合ってください」


黒子くんが、何を言っているのかが分からない。
私と涼太の事を応援してくれているんじゃなかったの?

「黒子くん……私、涼太と付き合って」

「ボクなら、みわさんを泣かせたり不安にさせたりしません」

「なに……?」

「ボクは、みわさんだけを見て、みわさんだけを大事にします。黄瀬君とは違います」

どうして、どうして?

「黒子くん、どうしてそんな事を言うの?」

「みわさん、ボク、今日黄瀬君と会ったんですよ」

「えっ?」

思いもよらないその言葉に、素っ頓狂な声を上げてしまった。

「去年オープンした温水プール、ご存知ですか? そこで、女の子とデートしていました」

「え…………」

「海常のマネージャーって言ってましたが、それが本当かどうかは分かりません」

マネージャー? キオちゃん? スズさん? それとも他の……?

「楽しそうに、恋人のように寄り添っていたふたりを、ボクは許しません」

「や、やめて」

「みわさん」

「なんでそんな事言うの。やめて……」

私が目の前で見たわけじゃない。
そんな話、信じない方がいい。

でも、黒子くんが悪意を持ってそういう事を言う人間じゃないって、分かってる。

他の誰よりも、涼太を知っていて彼を信じているひとだ。

「みわさん、すみません。本当は、言うつもりじゃありませんでした。
でも、言わないとキミはきっとずっと気付かずに」

「やめて」

「みわさん、黄瀬君と別れてボクと付き合ってください」


黒子くんの声が、遠く遠くに響いていた。



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