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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「黄瀬先輩は、もっと周りに目を向けた方がいいです!」

「素直に言えばいいじゃないスか。私を見てって」

赤い顔が、今度はぷるぷると震え出した。

「わたし、そんなに魅力ないですか?」

「そうじゃないっスよ。いいと思う。だからいい相手見つけて」

「神崎先輩とどう違うって言うんですか!」

まるで駄々っ子だ。
自分が一番になれないから、オレに当たってるだけ。

「全部違うっスよ。分かってんでしょ」

スズサンは悔しそうな表情を隠そうともしない。



「……っ、神崎先輩がずっと性的虐待を受けてたからですか?」



思いもよらない彼女の発言に、浮き輪に預けていた身体を勢いよく起こした。

「それだけじゃないですよね、神崎先輩はもっと以前にも」

「おい!」

自分でも驚くほどの声が出た。
スズサンもそれに驚き、少し怯えた表情をしている。

「な、なんですかそんなに大きな声出して」

「アンタ、なんでそんな事」

「先輩ご存じなかったですか? こう見えてもわたし、お嬢様なんですよ。
調べたい事があったら、お父様にお願いすればすぐ報告が上がってくるわ」

「……最低だな」

「お言葉ですが先輩は神崎先輩に同情しているだけだと思います。
黄瀬先輩の隣には、経歴も何もかもキレイな女性が並ぶべきです。
もし分からないのなら、神崎先輩の過去を周りに公表……」

止まらないその口を、手で塞いでやった。

「……それ以上言ってみろ、自慢のお顔で外に出れなくなるぞ」

「……っ」

「人の過去探って、汚い事してんじゃねーよ。
オレが惚れてるのは、今のみわだ。過去なんか関係ねー」

今までのようにオレの気を引きたくてアレコレやってくるのは可愛いもんだったが、そう来るなら話は別だ。

「じょ、冗談ですよ黄瀬先輩。
神崎先輩の事なんて、誰にも言いません」

「その方が自分の為だ」

「でも先輩、神崎先輩が計算していないって、どうやって言い切れるんですか?」

「……なんだって?」

「神崎先輩だって、自分の過去があるから黄瀬先輩が気にかけてくれてるんだって、分かってて計算しているところもあると思いますよ。
女って、結構ズルいもんですよ」

危うく殴りそうになって、必死で押し留めた。


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