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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


ストローをビニールから出して、差込口に刺すとプチンといい音がした。

昨夜散々気持ちを一通り荒らして、今日は少しスッキリしている。

きっと、涼太にも何か事情があったんだ。

絶対に話してくれるはずだから、それを待とう。
むしろ、その話がしたくて今呼び出されたのかもしれない。

あきとの時に、散々勘違いして迷惑を掛けたんだから、少しは学習しないと。

「あの、何か……用だった?」

「いや、みわの顔見に来ただけっス」

……おかしいな。
私としては、今話せるきっかけを作ったつもりだったんだけど……。

即答されてしまって、もう突っ込めそうな雰囲気ではない。

「……そっか」

ストローを思いっきり吸うと、イチゴ牛乳の甘さが口いっぱいに広がった。

「……次の休養日なんスけど」

「あ、うん来週末だよね」

「オレ、ちょっと用事が出来ちゃったんスよね」

「そうなんだ?」

珍しい。最近はふたりでゆっくり過ごす事が多かった。
元々涼太は忙しいひとだから、当然か。

「ゴメンネ」

「ううん、いいんだ。……少しの時間なら、会えたりする?」

「んー……もしかしたら、1日帰って来れないかもしれねぇスわ」

なんとなく、これ以上聞くなという無言のメッセージを感じ取った。

「うん、分かった」

なんだか、距離を感じる。
涼太は何でも相談してってこの間言っていたけれど、涼太は私に何の相談もしてくれないの?

……悩んだりしているという事ではないのだろうか。
浮気……というよりも、もう心が変わってしまったんだろうか。

分からない。涼太が何を考えているのか、全然分からない。

今までは、涼太が譲歩して感情を見せてくれていたから、私にも分かっただけなんだ。
私には、ひとの気持ちを察する力が足りないのかな。
ひとを思い遣るこころがないのかな。
だから、涼太も……

またこのループだ。
昨日も散々考えて眠れなくなって、を繰り返したのに懲りない自分。

涼太の事を考えると、食事も喉を通らない。
胸がキューッとなって、ぶわっと悲しさが広がって、それ以外の感覚が麻痺したようになってしまっている。

食欲も睡眠欲も感じなくなってしまった。

平常心、平常心でいなきゃいけないのに。




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