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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


中庭は日当たりがいい。
白いベンチに日光が当たって周りを明るくしているし、中央にある大きな噴水の流れる音にとても癒される。

緑が多いのも特徴だ。
きちんと手入れされた植木達があちこちに配置されていて、見通しは少し悪いかもしれないが、人に疲れた時なんかは気分転換になる。

時々ひとりで来る癒しスポット。
……大概すぐ女子に囲まれるから、長居はできないんスけど。

流石に直射日光は色々優しくないので、少しだけ日陰になっているベンチを選んだ。

「私、ジュース買って来るね」

「うん。オレここにいるっス」

すぐそこの自販機に向かうみわを目で追っていた。
形のいいお尻と足なのに、走る姿はやっぱり転びそうで。
思わず口角を上げながら観察してしまう。

ボタンを押して、取り出し口からジュースを取ろうとする姿に釘付け。
そんなに前かがみになったら、パンツ見えるっスよ?

ただでさえ1年で随分身長も伸びたみたいだし、スカート丈が短くなってるんスから。

って、オレは親父か。生活指導のセンセイか。

みわは何故か両手にジュースを持って帰って来た。

「随分飲むんスね」

「はい、これ」

そう言って差し出されたのはフルーツジュース。

「この間、これ飲んだら美味しかったからリピートしたいって言ってなかったっけ」

「あ、あぁうん、言ってたっス。いいの? ありがとう」

みわは、本当にちょっとした事でも記憶していて驚く事が多い。
もはやオレよりもオレに詳しいのではないだろうか。

それを自然にしてくれることが、心から嬉しい。
そう思うと、オレはみわについては分からない事だらけだな。

……キモチイイポイントならよく分かってるんスけど……

隣には、髪をかき上げながらストローに口をつけるみわ。
あのふにふにの唇が、すごく気持ちイイんスよね。

昼間っから思い切り煩悩だらけになっている頭を一振りした。

「ごめんね、昨日折角来てくれたのに会えなくて」

「あ、ううん。私こそ」

「今日、埋め合わせしたいんスけど……オレの部屋、来ない?」

このお誘いは露骨だろうか。

「ごめんなさい、今日はちょっと……」

「そっか、じゃあまた今度」

……なんとなくいつもと違う空気なのは、オレの考えすぎか?




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