• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


昨日は結局みわから着信はなかったようだ。
朝練でも一応顔を合わせたが、オレが寝坊したせいで大した会話もしないで終わってしまった。

「黄瀬先輩」

昼休み、みわの所へ顔を見に行こうと席を立ったら、教室の入り口に見慣れた顔。

スズサンが立っていた。

「あれ誰? 可愛くね?」
「バスケ部のマネージャーらしいよ」
「お人形さんみたい! 顔、ちっさ!」
「流石黄瀬だな、迎えに来る女のレベルが違う」

そんなクラスメイト達の声をよそに、オレは教室を出た。

「どうしたんスかスズサン、今日の部活のこと?」

「先輩、ちょっといいですか?」

「ちょ、なんスか?」

その小さい手は思ったよりも力があり、グイグイとオレを屋上まで引っ張っていった。



屋上へ出ると、一面の抜けるような青空。
こんないい天気、みわと外でお昼寝したいっスね。

屋上は人が多いものかと思っていたが、意外にも人影はなかった。
皆、食事が終わってから来るのかもしれない。


「黄瀬先輩、……私、聞いちゃったんです」

「ん? 何を?」

「キオタ先輩が、妊娠したって」

「……え?」

「父親は、黄瀬先輩なんですよね」

「ちょ、ちょっと待って、聞いたってどこで?」

「体育館裏でおふたりが話されている時です」

まさか、最初のあの時か。
気付かなかった。人影があったなんて。

いや、あの時はオレも動揺していたし仕方ないか……。

「何勘違いしてるか知らないけど、相手はオレじゃないっスよ」

「……最近の黄瀬先輩の行動からは、そうは思えませんが」

「ん?」

「妊娠検査薬を一緒に買いに行ったり、病院に付き添ったり。
普通、そんな事しませんよ」

「なんでそれ、知ってるんスか」

「先日、ドラッグストア前で手帳にサインして貰った子、いましたよね?」

「ん、ああ、いたっスね」

知らない学校の制服。あれはキオサンが買い物しているのを待っている時だったか。

「あれ、私の友達なんです。
黄瀬先輩にサイン貰った後、店内に入ったら妊娠検査薬の前で固まってる若い子がいたって。
もしかしてと思って見ていたら、黄瀬先輩と一緒に帰って行ったって。
産婦人科の前で待つ先輩だって、目撃されてますよ」

あの日の自分の軽率さを心から後悔した。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp