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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「はあッ……! はあッ……!!」

走り慣れていない身体。
突然心臓に過度な負担がかかり、破れてしまいそう。

酸素が脳内に行き渡らず、目の前が白くぼやけてくる。

足元がふらふらして、ホームのベンチに座り込んだ。



私は、涼太と別れる決意をしていた。

涼太が私の事を好きで居てくれるのは、私の体質が招いているものなんだって。

だから、別れた方がいい。
それが、涼太のためになるからって。
私と居ても、涼太にはなんの得にもならないって、分かってたから。

なかなか、踏ん切りがつかなくていつまでもフラフラと甘えてしまっていたけれど…。

でも、ちゃんと決心して、伝えるつもりだった。

それなのに、彼が他の女性と抱き合っているのを見ただけで、こんなに乱れてしまうなんて。

胸がざわつく。
叫び出してしまいたいくらい、グシャグシャと頭を掻き毟りたくなるほど、心がささくれ立っている。

落ち着かないと。落ち着かないと。
思えば思うほど涙が溢れて頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。

こんな気持ち、耐えられない。





「お帰り。黄瀬さんには会えたのかい?」

「…………ッ」

おばあちゃんが話しかけてくれる声すらも無視して、部屋へ駆け上がった。

カバンを無造作に放り投げ、布団に飛び込む。

今日の夜作業がしたいからと取りに行ったノートなのに、まったく手に付かない。

カバンの中から振動音が聞こえる。

……きっと、涼太だ。

涼太に聞きたい。

どうしてキオちゃんと一緒にいたの?って。

どうして手を繋いで歩いてたの?

どうして抱きしめてあげていたの?


でも、涼太の口から真実を聞くのが怖い。

自分から涼太の手を離そうとしていた癖に、涼太に捨てられるのがこんなにも怖い。

なんという自分勝手さだろう。

こんなだから、彼も嫌気がさしてしまったのかも。

キオちゃんは、私と違ってなんでも一所懸命だ。

なかなか1軍のお手伝いが出来なくても腐る事なく頑張っているし、可愛いし、とても魅力的。

分かってる。

なのに、涼太に求められているのが自分だけじゃないと知って、こんなにも嫉妬している。

あの場で彼の胸の中にいた彼女が妬ましくて妬ましくて仕方がない。

キオちゃんの事で頭がいっぱいになってしまっていた。


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