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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「黄瀬、オマエやるなぁ」

「流石だな」

教室に行くと、数人の男子からそんな風に話しかけられた。

なんとなく、色めき立った空気に違和感を感じる。

「……なんスか?」

相手だけが事情を分かっている会話というのは不快だ。
少し苛立った気持ちで問いかけた。

……いや、苛立っているのはそれだけが理由ではない。

今朝、みわになんとなく素っ気ない態度を取られて、ショックだったというのもあるかもしれない。

ホントに、ガキかよオレは……。




「オマエ、寮に女泊めてるんだって?」

「お前の部屋から喘ぎ声とか、聞こえてくるらしいじゃん」

げ。

まさか、みわを泊めた時の事を今になって言われるとは。

今になって、っていうかまあ、比較的最近の事ではあるけど……。

いや、もしかして泊めた時じゃなくて、部屋に来てセックスした時か?

……思い当たる節がありすぎる。
いつの事を言っているんだ。

いやいやでも最近は、みわの部屋でスることも多かったし……。

なんて、ついつい黙って考え込んでしまう。

「その顔、マジで?」

「いや、あー、いやいや違うんスよ」

「じゃあ噂はマジだったんかー」

男子たちはオレに好奇の目を向けたまま、教室の外へ出て行ってしまった。

なんにも違わねえけど、一応否定しとかないと。



でも、泊めてる……って言ったらやっぱりあの雨の日の事っスよね?

洗濯物は中村センパイが集めてくれてたみたいだから安心しきっていたけど、他の誰が見てないとも限らない。

あの後特に問題にもならなかったから、そんな事すっかり記憶から忘れ去っていた。

なんで今更、あの日の事を言われるんだろう。
ってか声って、隣に聞こえてたんスかね……。

確かにタオルを噛ませてたとはいえ、ベッドが軋む音や漏れ出る喘ぎ声は抑えきれなかった。

……あの時の妖艶なみわの姿を想像して、少し反応しそうになってしまった。



バカなオレは気づいていなかった。
みわを泊めた時のウワサと、昨日キオサンがオレの部屋に来ていたのが見つかったというウワサがこんがらがって、事実が捻じ曲がりそうになってしまっているのを。


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