第65章 星空
「ひとりじゃ怖い……」
いやいやいや、それじゃ父親がオレって勘違いされるじゃねぇスか。
とは思うけど、みわの大事な友達にそんな薄情な事をここで堂々と言えるほどオレは図太くない。
なんとか、いい方向にもっていける案はないか……。
「ね、ねえ、こんな事聞きたくないけど……確認しておくと、ナマでした……んスよね?」
ああ、女の子に何聞いてんだ。
いやでも、ここはハッキリさせておかないと。
「わ、わたし初めてだったから……そういうの、分からなくて」
初めてだったのに、あんな風に男にあげちゃって良かったんスか?
……オレだって別に、女性の処女性などにこだわるつもりは毛頭ないけど。
「し、した後に……中からいっぱい……流れ出て……来たから、多分……」
ああ、それじゃあ避妊はしていないだろう。
最悪だ。
無理矢理ではない以上、キオサンにも責任がないとは言い切れないけれど、そこは男として最低限のマナーだ。
もう顔も覚えていないが、相手の男に強い憤りを感じた。
「病院の付き添いなら、男よりやっぱりそういうのは同性のコに、みわに相談する事は出来ないんスか?」
「無理……!」
驚くほどの即答。最近このふたりはプライベートで食事に行ったりするほど、仲も良かった筈なのに。
「どうして……」
「だって、みわちゃん、こんな事聞いたら絶対幻滅する。
私の事信用して、色々な事教えて貰ったりとかしてるのに、こんな事知られたら、わたし」
「しないっスよ、みわはそんな子じゃないから」
「いや……大切な友達、失いたくない……!」
こうなってしまったら、取り付く島もない。
「でもね、こんな事言いたくないんスけど……オレが病院に一緒に行って、勘違いされたらみわが傷つくんスよ」
「あ……そう……だよね……ごめんなさい……」
キオサンは更に俯いて、黙ってしまった。
「病院の外で待ってるとかは出来るからさ、それで勘弁して貰えないっスか?」
「ごめんなさい……黄瀬君……ありがとう……」