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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「……で……」

さっきからかれこれ30分は何もしないで固まっている。

「キオサン」

「わ、わかってるっ!」

「……」

怖いんだろう。
女の子の立場になった気持ちなんて一生分かってあげられないと思うけど、不安は伝わってくる。

手が震えている。

「……寮に戻ってから、ひとりになってから使う……」

「それじゃ、今行って来た意味がないじゃないスか」

「……そうだよね……」

追い詰めるつもりはないのに、ついつい進まない展開にキツい口調になってしまう。

もしこれが自分とみわの問題だったら、どうするだろうか。

……いや、そんな事考えても仕方ないな。

「ね、怖いのは分かるけど頑張って。これが分からないと、ずっと進めねぇっスよ」

「……うん……」

キオサンは既に泣いていた。
その顔を見て、オレの中にも見ないフリをしていた罪悪感が湧き出てくる。

あの合宿。『オレたちはそれぞれ様々な得難いものを得た』ってあの時は思ったっスけど……
コレはないっしょ、流石に……。

「……行って、くる」

キオサンはぽつりとそう言うと、トイレへと入っていった。





そこからまた、どの位の時間が経ったか。
オレは何するでもなく待っていると、トイレのドアが開いた。

「どうだった?」

「……何にも、印、出ない……」

それを聞いて、すこしホッとした。
まだ、妊娠していない可能性だってあるんだ。

「そうっスか。生理予定日からはどのくらい過ぎた?」

「分からないの……だって、本当に不順だから」

生理が不順だというのに、どうして妊娠していると思ったのだろう?
女の勘か?

「じゃあ、もしかしたら違ったのかもしんないっスね」

「で、でも……! 日中やたらと眠かったり、食べ物の匂いで吐き気がしたり、熱っぽかったり……」

確かに、症状があるというなら心配だ。

「うーん……流石にオレは分かんないっスけど、じゃあやっぱり病院に行ってみるしか」

「黄瀬君お願い、一緒に来て」

「え」

彼女の懇願に、今度はオレが固まった。



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