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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「キオサン、お待たせ」

キオサンは制服姿ではなく、私服だった。

「あれ、早いね? 一度家に戻ったんスか?」

「あ、うん……私も、寮生活だから」

「ああ、そうなんスか」

オレは本当に周りの人間の状況を知らないな。
じゃあ、ますますご両親になんて相談出来ないんじゃ……。

「ん、じゃあ場所変えよっか。……ファミレスとかファーストフードで話す話題じゃないっスねえ……」

どこかいい場所はないか。
そう考えているとキオサンから提案が。

「あの、黄瀬君の部屋とかは、ダメかな?」

「へ? オレの?」

「女子寮は、入り口からチェックが厳しくて入れないと思うんだけど……男子寮は甘いって聞いたし」

確かに、男子寮のその辺りのチェックはひどいものだ。
むしろ、チェックなどないに等しい。

「部屋、っスかあ……」

「出来れば、誰にも聞かれない場所がいいなって……あ、でも無理にとは」

「ん、分かった。この場合は仕方ないっスね。いこ」

話題が話題だけに、誰に聞かれるか分からない店よりも個室の方がいいだろう。

こういう時、どちらかが実家暮らしだとラクなんスけどね。






「……お邪魔、します」

相変わらず驚く程の安全さで、寮に忍び込ませる事に成功した。
ダイジョーブか、この寮。

「そこらへん、テキトーに座って」

と指をさしたものの、考え直す。

「……いや、下じゃ冷えるっスね。ベッドんとこ座っておいて」

「あ、うん……ありがとう」

キオサンはそう言ってベッドに腰かけた。

本当にゲンキンなものだが、女性と密室でふたりきりだというのに、この胸はドキリともしない。

そこにいるのがみわなら、もう無条件で、我慢出来ないほどに求めてしまうのに。

小さな電気ケトルでふたり分のお湯を沸かし、温かいとうもろこし茶を入れた。

貰い物ではあるけど女性にいいと聞いて、みわが来てくれた時に出そうと思っていたお茶だ。

「……で、早速だけど……確実なんスか?
検査薬は使った?」

我ながら直球の質問ではあるが、もうここで隠しても仕方ないだろう。

しかし、彼女は首を横に振った。




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