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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


コートがなければ寒かった日が懐かしくなるような、過ごしやすい気温だ。

もう少ししたら、すぐに梅雨のシーズンになるだろう。

四季の移り変わりが早く、1年ってあっという間だなとなんだか感慨深くなっていた。

「涼太、お疲れさまぁ」

部活終わりで完全スイッチオフになったみわと帰り道を歩く。

この道も、冬こそ裸の木々で寂しいけれど、春になれば桜が咲き、今は緑が美しい。

キオサンには申し訳ないが、みわを家まで送るという仕事を放棄するつもりはない。

彼女には少し待って貰い、後ほどふたりで話す予定だ。
キオサンの希望で、まだみわには相談していない。

内容が内容だけに、慎重になっているのだろう。
オレも黙っているのにいい気はしないけれど、こればかりは仕方ない。

「今日の練習はまた、キツかったっスね」

「えへへ、涼太のトレーニングちょっと厳しいのにしちゃってる」

「やっぱりオレのだけちょっとメニュー違うっスよね!?」

みわが組み立ててくれているオレのウエイトトレーニングだけ、ちょっとメニューが変わってきていた。

「足、また怪我しないようにと思って……」

みわはいつもオレを心配している。
もう、無駄な心配をかけないようにしないと……。

「ありがと、みわ」

くしゃりと彼女の髪を乱すと、ふにゃっと笑ってくれた。



「いつも送ってくれてありがとう。ごめんね」

ああ、もう家に着いてしまった。
永遠に着かなければいいのに、なんて思ってしまうみわとの時間。

「いや、いいんスよオレは帰り道がロードワークになるし」

そんな苦しい言い訳めいた事を言ってしまう。
みわと一緒に居たいだけだと、素直に言えば良かった。

「おやすみなさい、また明日ね」

そう言って門を開けたみわを捕まえたくて、思わず後ろから抱きしめた。

「……涼太……?」

「みわ、スキ……」

みわを振り向かせて唇を重ねると、ふわりとイチゴの香りが舞った。

「……イチゴ?」

「ご、ごめんなさいさっきアメ貰ったから……」

何故謝るのか、顔を赤くするみわが可愛くて、その香りごと呑み込むようにキスをした。

「ん、……ん」

優しく背中に回された手が、嬉しかった。


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