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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「……まぶし……」

微かに開いたカーテンの隙間から漏れ出た光に目を細めた。

あれ、なんだ、ここ。

暫くボーッとした頭を働かせていたが、腕の中にいる裸体のみわを見て思い出した。

しまった。
結局昨日は何度も何度も押し寄せる欲情と快感に身を任せ、体力も全て使い切って眠ってしまったらしい。

「やべ、朝練……みわ、起きて」

「う……ん……」

なんたってここはまだ東京だ。
みわは一度お祖母さんの家に戻らないといけないし、オレも寮で着替えなければ。

ああ、昨日最悪終電でも帰るべきだった。
迂闊だった。こんな風に寝入ってしまうとは。

ギシギシと壊れたロボットのような動きをしているみわを急がせるのは可哀想で。ゴメン。

お互い軽くシャワーを浴び、急ぎホテルを出た。





通勤の逆方向という事もあって、帰るまでは電車も空いており、ふたりで座って行くことができた。

みわは下半身がツラそうだから……。

手を握りながら座っていると、こてんと肩に頭を預け、みわは目を閉じていた。

寝息こそ聞こえないが、規則的に上下する胸をみるところ、もう眠ってしまっているらしい。

最近はきちんと睡眠が取れていないのか。

……いや、以前の睡眠導入剤の使用頻度を考えても、そんなにすぐに改善されるものではないだろう。

少しの時間でも、眠れますように。

来月にはIHの予選も始まる。
そうなったら後はあっという間だ。

去年と同じ思いはしたくない。
勝利の2文字を胸に刻んで、握られた手に力を込めた。

ああ、昨日は幸せな日だったな。
何事もなく、こうして平和な日が続きますように。







「オハヨウゴザイマース」

特急電車に乗る事が出来たため、思っていたよりも時間に余裕があった。

体育館にはまだ殆ど人が来ていない。

中村センパイが既にシュート練習をしているのと、キオサンがいるだけだ。

「あ、黄瀬君おはよう」

「オハヨ」

「あの、今日……お昼休みか部活前、相談に乗って欲しい事があるんだけど」

「ん? オレでいいの?」

普通に考えて、みわに相談するのが妥当だと思うけど。

「黄瀬君じゃなきゃ、ダメなんだ」

「いいっスよ、じゃあまた声かけて」

キオサンの表情に、いつもの明るさはなかった。

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