第14章 花火
"一緒にいられるならどこでもいい"
付き合いたての女の子は、皆そう言った。
でも、連れて行く店によって、明らかに態度が変わった。
"折角黄瀬君と付き合ってるのに、ダサい店とかあり得なくない?"
"ちょっと休憩って時に、カフェじゃなく近くの公園に連れて行かれた。ないわー"
後日、廊下で女子達の話が聞こえた。
その子とはすぐ別れた。
途端に、『お付き合い』が仕事のように感じてしまったからだ。
イメージ。モデルだから。
オレも、オシャレで女の子が好きそうな店をわざと選ばなかった。
無意識に、試していたんだと思う。
オレの、何がスキなの?
どんなオレがスキなの?
そんな思いがまとわりつく。
なんでなんだろう。
人の好意を信じられない。
みわっちにも、今無意識にやってるのか。
ねえ、オレをどこまで受け止めてくれる?
幻滅しない?
そんな風に思いながら。
いそいそと準備をする彼女を後ろから抱き締めた。
「……黄瀬くん? ……どうしたの?」
「……なんでもない……」
オレは、もう女の子に期待するのはやめた。
抱き合いたい時に抱き合えて、柔らかくて、キモチヨクなれればそれでいい。
所詮は他人。
心の繋がりなんて、求める方がバカだった。
みわっちの胸を揉む。そう、キモチヨクなれればそれで。
女の子だって、そうでしょ?
「ちょ、ちょっと……っ、ラーメン、は!?」
「みわっち……今ラーメンの話する?」
「だって、食べに行くって決めたから準備してるのに……」
「気持ちよく、なりたくないっスか?」
シャツの中に手を入れ、強引にブラの中に指を滑り込ませる。
「やっ……あ、黄瀬くんっ、どうしたの、ねえ」
先端を弄ると、身体が反応する。
ほうら、簡単だ。
「あっ……まっ、待って!」
今までにない強い力で跳ね除けられた。
「みわっち……?」
顔を真っ赤にしながら、何か言いたげ。
いつもはオレにされるがままじゃん。
どうしたんだよ。
「黄瀬くん、さっきから変! なんか悩んでる事があったら、ちゃんと言って……どうしてごまかそうとするの……」
涙目になるみわっち。
悲しそうな顔。
「……ごめん……」
オレ、何やってんだ。
そんな顔させたいんじゃない。
笑ってて欲しいのに……。