第14章 花火
「わ、今のスゲー! そこから入るんスか」
「黄瀬くん、あれコピーできる?」
「ん〜…あれならちょっと調整すれば……ああ、試してみたくなるっスわ」
スーパープレイに反応してしまうのは才能ある彼の宿命か。
「安静ですよ」
「ハイ……分かってるっス」
「あはは、私が聞いたのが悪かったね」
黄瀬くんは、誰とでも一線引いている。
勿論……私にも。
ベッドの中では、それよりは少し、ほんとの顔が見れている気がするけど……うまく表現できる言葉が見つからない。
「みわっちごめんね、なんか結局オフなのにバスケのことばっかり」
「ん、そう? 楽しいよ?」
「そう言ってくれるならいいんスけど……無理してない? 無理ならホントに言って?」
こういう時とか。
一線を引いているのに、反応を極端に気にするというか……。
うーん、やっぱりしっくりくる言葉が今は見つからないな。
「私は不器用なタイプだし、嘘が下手なんだよ」
「う、ん……そうっスよね」
「あ、今のダンク」
「すっげぇ」
「あっ、ここ筋肉硬くなってる」
「いってぇええ!」
その反応に、思わず目を合わせて笑った。
楽しいな。
「はー……なんか身体軽くなったっスわ……そろそろ昼ご飯でも食べないっスか?」
「あ、そうだねもうこんな時間」
ストレッチを終え、DVDもキリよく終わったところで。
「良ければ、オレの好きな店行かない? ラーメン屋なんスけど」
「行きたい!」
気を遣わせて、凄い豪華とかそんなことなくて、いつもの黄瀬くんで良かった。
「あ、ラーメン屋とか嫌っスよね。ついセンパイ達とのノリになっちゃった……イタリアンとかにしよっか?」
「なんでラーメン屋からイタリアン?」
「いや、オシャレなほうがいいかなって」
「ラーメン屋美味しいんだよね?」
「美味しいっスよ! オススメは塩!」
あ、また無邪気な表情。
「わ、塩ラーメン好き」
「でもオシャレじゃないっスよ」
「ラーメン屋だし……黄瀬くんはオシャレな方がいい?」
「いやほら、デートだし一応」
「え、一緒にいられるならどこでも大丈夫だよ。デートなんてした事ないけど……そういうものではないの?」
あれ、黄瀬くんの表情……私またおかしなこと言ってる?
空気読めてない?