第65章 星空
「みわ」
「みわ……」
涼太の指が触れるたびに、甘く痺れるような声で名前を囁かれる。
優しく的確に快感を探られる感覚に、身体が疼いて仕方ない。
「ぁ、あ」
彼の唇が耳朶を食み、舌が捻じ込まれた。
「んぁっ……」
「みわ、声が聞きたい」
「……はぁ、はぁ」
自然と声を抑えてしまい、荒い息だけが口腔から漏れ出る。
それを意識してどうこうというほどの余裕が今はない。
彼の空いている両手が乳房へと下り、先端の周りを優しく撫でながら焦らしてくる。
触れられるたびにびくんびくんと自分でも分かるほど背は反り、足もつま先まで反り返ってしまっている。
「やァ……」
「今日は……カラダ、いつもよりすげぇ敏感っスね……」
黒いTシャツは、彼の明るい髪との対比が美しい。
そのTシャツから覗いた腕が太く、力強くて男らしいのに、触れる指先は驚くほど優しいタッチで。
さらりとした前髪は動物のように柔らかくしなやかなのに、舌で愛されている時に肌を撫でていく愛撫のような感覚に、ゾクゾクするのが止まらない。
彼の全身で、私の全身を愛撫されている感覚に、正気を失ってしまいそう。
「っ、はぁ……ぁ」
前戯の合間に、髪を撫でながら包み込まれるようにしてくれるキスが気持ち良くて、
その透き通った宝石のような瞳に見つめられると、こころの真ん中がほろほろと溶け落ちてしまうよう。
全部全部溶かされて、ひとつになりたい。
何度交わっても飽きる事なく、この気持ちが湧き出してくる。
「涼太……好き……大好き……」
ああ、言葉にするとなんて薄っぺらく聞こえてしまうんだろう。
誰か、このこころの中の気持ちを彼に伝えて。
『愛されないのは悲しい。しかし、愛することができないというのはもっと悲しい』
ふと、とある文学作品の中の名言が頭の中に浮かび、それもすぐ快感に消されていく。
このひとを愛する事が出来て、本当に幸せだ。
この先に何があってもいい。好き。好き。
溶け合うこの感覚だけ、今は感じていたい。