第22章 水族館
しずくside
デザートを食べ終え、会計をすませるとカフェを出る。
菅原との写真。
1枚づつ増える菅原との写真に口元が緩む。
「あ〜、 しずく笑ったべ。そんなに俺との写真嬉しい?」
別に、そんなんじゃないから。勘違いしないで。
そう口にしそうになったのを抑える。
「......嬉しいよ//だって、こうやって形に残すと、後で写真を見ると凄く鮮やかにその時のことが頭に浮かぶの。その時の気持ちとか、考えてたことまで細かく。いつでもそんな風に思い出せるって素敵でしょ?」
これは私の本音。
本音を口にするのはやっぱり少し恥ずかしいと思ってた。
でも、凄く気持ちいい。
菅原も同じ気持ちだといいなって期待したりしちゃって。
「.....あとでさ.....俺にも頂戴。その写真/////」
「....../////... 桜山 しずくのスナップ写真。お高いよ?なんちゃって」
「...ほぉ。菅原孝支のスナップ写真と交換でどうだ。」
「ふふ。それ、最高。」
そんな話をしながら私たちはさっきまで回っていたルートに戻っていた。
深海エリアを回り、次はクラゲの世界。
とかいうクラゲのエリアだ。
薄暗い小さなトンネルの中に2人で入っていく。
真っ暗な水槽の中に青白く光るクラゲは凄く幻想的だった。
「...綺麗。」
「あぁ。」
会話こそ少なかったものの、菅原との距離も近くて雰囲気もあってか自然に手を繋ぎ、ひっついて歩いた。
周囲に人もいなかったこともあって恥ずかしくはない。
「... もう少しで出口だね。」
「... しずく。どうしよう、まだ、出たくない。」
「...もう少しここで見てようか。」
「うん。」
そう言って2人で水槽の中のクラゲを眺めていた。
菅原に腰を抱かれて。
さっきよりもっと菅原との距離も近くなった。
この雰囲気のせいか不思議と恥ずかしくはない。
付き合ってから知った菅原のこと。
私から何かするとすぐに赤面するのに、自分から近づくときはこういったことを恥ずかしげもなくしてくる。
これじゃ、私の心臓が持たない。