第21章 ヤキモチ
菅原side
部活の時間となった。
「菅原ー!今日、暇なんだよね。部活見てってもいい?」
「...いいけど.....。」
しずくの顔を見ると、今朝の光景が頭に浮かぶ。
朝一緒に歩いてたの誰?
そんなことを口に出してしまいそうになる。
「...??.....じゃあ、また上から見てるね。」
そう言って しずくは階段を上っていく。
しずくはいつも、何をするでもなく、俺たちの練習をぼーっと眺めている。
いっそ、 しずくもマネジャーになったらいいのに、なんて思ったり。
ちらりと しずくの方に目をやる。
?!?!
しずくが笑顔で手を振っていた。
手を振っている方向は窓の外。
ここからだと誰に手を振っているのかわからない。
今までそんなこと一度もなかったのに。
朝、一緒に歩いていたやつに振っているのだろうか。
モヤモヤする。
部活が終わり帰宅の時間となる。
「お疲れさま。今日も、たくさん動いてたね。」
しずくが駆け寄ってくる。
「...あぁ。」
こんな反応をしたいわけじゃないけど、なんとなく素直になれない。
「やっぱりな!今日は来ると思ってたんだよ!朝とかめっちゃニヤけてたし」
田中も加わる。
「は、はぁ?たまたま、たまたま気が向いただけだし。」
気が向かなかったらどうしてたんだろう。
今朝の、一緒に歩いてたやつと一緒に帰ってたのか。
あの時みたいに笑いながら。
イライラする。
「...スガさん?」
「.........菅原。なんか、怒ってる?」
「...別に。」
つい、冷たい口調になってしまう。
あぁ、やだな。俺って性格悪い。
「....別にって...怒ってる...。私、何かした?」
「だから、怒ってないって!」
「...す、すが?どうした?」
大地や1・2年生も驚いて俺たちを見る。
これじゃ、あいつとやってること変わんない。
勝手に嫉妬して、勝手に冷たく当たって、勝手に しずくを困らせて。
でも、笑顔で気にしないとか、俺はそんな大人にもなれそうもない。
「....怒鳴ってごめん。帰ろ?」