第2章 恋人
あまり話す気がない私を考慮してなのか、本当それが聞きたかったのかはわからないが、菅原が私にした質問はYes、Noで答えられる簡単なクローズドクエスチョンだった。
もう少し歩けば家に着くというところで菅原が立ち止まる。
待っている義理はないので私は構わずに歩いていく。
「ねぇ、 桜山さん。さっきの車の人って誰?」
.....車の人。
なんだ、結局見てたのか。
「彼氏。....でも、それあんたに関係ないよね?」
菅原が口を開く。
「どんな人?」
「もー、帰ってよ。家、其処だから。お礼とか言わないよ?別に頼んだわけでもないしね。」
そう言って私は歩き出した。
「 桜山さん!また明日学校でなっ!」
菅原が大きな声で言った。
私が振り返ると大きく手を振って笑っていた。
「...........また、明日。」
菅原には聞こえないであろう小さな声で呟いた。
そんな自分が嫌になる。
私、流されてる。
そこからは振り返らずに家に走った。
鍵を開けて家の中に入ると玄関にしゃがみこむ。
「ただいま。」