第18章 叫び
菅原side
管理人さんが鍵を開けてくれる。
俺はお礼も言わず管理人さんを押しのけて部屋に入る。
しずくがいた。
痣だらけで傷だらけで血を流して泣きじゃくって叫び続けて謝って鎖で繋がれた しずくが。
りょー君に殺意が沸いた。
声をかけるとキョトンとしてそれでも安心しきった顔で しずくは更に泣き出した。
そんな しずくを俺は強く抱きしめた。
きっと、怖かったし痛かったし辛かったし心細くて不安だったに違いない。
俺は何もできなかった。
口だけで何もしてやれなかった。
気づいたら俺も泣いていた。
「...ごめん。」
「...??なんで、、あや、ま、るの、、?」
「何もできなくて、、おれ、、何も、、、」
しずくは俺の頭を優しく撫でてくれた。
「そんなことないよ......ありがと.....来てくれて....嬉しかった.....助けてくれた....」
そう言って しずくは泣きながら笑った。
しずくは強いと思った。
「.............うっ......あぁ........。」
俺も しずくに無事でよかったとか、あえて嬉しいとか、言いたいことたくさんあるのに.....出てきたのは情けない泣き声だけで...そんな自分が嫌になる。
しずくはまだ俺の頭を撫でている。
「...菅原。」
しずくが俺の名前を呼ぶ。
顔を見ると、 しずくは俺に口付けた。
触れるだけの優しいキスだった。
第19章につづく