第17章 声
菅原side
走る。走る。走る。
まず、学校を出よう。
下駄箱を目指して走る。
「菅さん、やっと見つけたっす!!....はぁ、...は。」
息を切らした田中に声をかけられる。
「田中?!」
「さっき、白井が泣きそうな顔で体育館まで来たんすよ」
「話は聞きました!菅原先輩水くさいじゃないっすか!俺らも手伝わしてくださいっ!」
「 俺たちも手伝うよ。どーせ、この状態で部活しても見に入らないだろ。....そのかわり、今週末はいつもの倍だと思っとけ。
「さっさと、解決しちゃいましょう。僕らも暇じゃないんで。」
西谷、日向、大地、月島。
それに、みんなも。
「ありがとう。」
「で、目星はついてるんすか?」
「......まだ、何も。」
そうだ、俺は しずくのこと、何も知らない。
家も、交友関係も、 りょー君のことも、
連絡先も今は繋がらない。
学校で話すだけの、そんななんでもない関係。
唯一話してくれた過去の話も、今の状態を打開するにはあたらない。
唇を噛みしめる。
「...クッソ!」
「....別に、担任に家聞けばいんじゃないんですか?プリント渡すよう頼まれたとか言って。」
月島が言った。
「「「ナイス月島!!」」」
「え、ちょ、思いつくでしょ、普通。」
「______ということなので、 桜山 しずくの住所教えてください。」
「お願いします!」
担任に頼みに行くのは、田中と西谷に頼んだ。
学年の違う俺が言ったんじゃ不自然極まりない。
「...は、プリントって、いったい誰から、、、。またそのうちフラリと登校してくるだろう。その時じゃダメなのか?」
先生が半分呆れ気味に言う。
「.......武田先生からっす!どうしても、至急届けなくちゃいけないらしくて!!」
西谷が言う。
「...ま、まぁそこまで言うなら。」
そう言って、 しずくの家の地図を学生名簿から引っ張り出してくれた。