第16章 確信
振り返ると女の子がいた。
見たことない顔だな。
大人しくて、真面目そうな子だ。
「そーだけど、、君は?」
「えっと、わ、私、 桜山さんと同じクラスの白井って言います。その、、 桜山さんの、ことで、、気になることがあって、、」
「 しずくの!?」
白井さんはビックリして目を大きくしていた。
自分で思っていた以上に大きな声が出てしまっていた。
「あ、ごめん。それで、気になることって?」
「その。昨日の帰りなんですけど。校門の近くで 桜山さんを見たんです。人と一緒にいたし、特別仲が良かったわけでもなかったので声はかけなかったんですけど、、」
「人と一緒に?それってどんな!?」
「えっと、少し離れてたのではっきりは覚えてないんですけど、背の高い男の人で、何度か 桜山さんを迎えに来ているところ見ましたし、多分恋人?さんだったと思います。...........それで、その。……」
言葉に詰まる。
彼女の顔がこわばっていくのがわかる。
「……男の人の車に乗って行ってしまったんですけど。…少し様子がおかしくて。」
「様子がおかしかった??」
「はい。車に乗るっていうか、乗せられていたっていうか。その時の 桜山さん、すごくグッタリしていたようにみえて。......担がれていたっていうと少し語弊があるかもしれないですけど、今朝休みだったので、ただ、 桜山さんの体調が悪かったのかな?って思ったんです。でも、昼休みの先輩の慌て方みたら、やっぱり、少し変な感じがして。」
今まで、予感だったものが確信に変わった気がした。
やっぱり。何かあったんだ。
「、、教えてくれてありがと。」
それだけ言うと俺は走り出した。
何処に向かうかはわからないけど、急がなきゃいけない気がした。