第14章 狂気
「....... りょー君??」
ドアを開けて現れたのは りょー君だった。
「 しずく?目、覚めた?」
「.ここ、どこ? りょー君の家じゃないよね?」
りょー君が笑顔で言う。
「 しずくの家だよ?新しい。」
わたしのいえ??
ここが?
りょー君はなにをいっているんだろう?
「今日から しずくはここで暮らすんだ。ここ、俺の住んでる部屋の隣なんだ。マンションの8階。窓から逃げられるとか思わない方がいいよ。落ちたら即死だし。あ、部屋を分けたのは別に しずくのこと嫌いになったとかじゃないよ?ほら、やっぱ、プライバシーって大事にしたいじゃん?いくら、付き合ってるっていっても、まだ結婚してないし。これを機に同棲も考えたけど、 しずくが18になるまでは待とうって決めてあったから。」
「なに、言ってるの?」
「.......俺が何も知らないと思ってんの?昨日は、随分と可愛いことしてくれたじゃん?全部聞いてたよ。菅原ってやつと連絡先の交換までしてくれちゃって。あんなののどこがいいわけ?」
なんで、知って......。
「どうして?って顔だね。制服のポッケの盗聴器に気づかずにいろんなこと話してたじゃん。俺、わかったんだよね。 しずくはなにも悪くないって。悪いのは全部菅原ってやつでしょ?だったら、 しずくとあいつが合わないようにすればいい。ここなら、会う心配もないし。あ、そーだ。 しずくの携帯だけど、捨てたから。俺以外と連絡とる必要もないし、いいだろ?俺に用があれば、あれ使って。俺の番号だけ登録してあるから。」
「.........。」
言葉が出ない。
言っていることは理解できるのに頭が追いつかない。
「大丈夫。俺がずっと一緒にいるから。しずくが死んでも俺が死ぬまでずっと一緒だから。この中は好きなように使えばいいし。外に用事があるときは言ってくれれば、俺が代わりに行ってくるし。 しずくは、ここにいるだけでいいから。ご飯も一緒に食べよう。毎日、遊びにくるから。」
「 りょー君...おかしいよ。」
声が震える。
りょー君が怖い。
こんな りょー君は知らない。
涙が溢れる。