第13章 スキ
「前にもあったね。こんなこと。」
きっと、視聴覚室でのことを言っているんだろう。
以前は、立場が逆だったけど。
俺は壁に寄りかかって座る。
隣をぽんぽんと叩く。
「...とりあえず、危ないし、こっち戻ってこいよ。」
しずくは俺と視線を合わせたまま隣にきて腰を下ろした。
こんなに近くで しずくと話すのは久しぶりな気がする。
「その....なんていうか....久しぶり...?」
しずくは俺を見つめて言った。
「....別に.....話さなくてもいいよ。わかってるから。」
ドキリとした。背中に変な汗をかく。
「わ、わかってるって?」
しずくが俯く。
「.....やっぱり、もう会うのやめよう。私達が出会ったのを無かったことにしよう。元に戻るの。お互いが出会う前の、生活に戻るだけ。これで、元通りでしょ?」
..................................。
いま、なんて言った?
しずくはなんて言ったんだ。
「菅原が私のこと避けだしたの、視聴覚室で話してからだよね。...迷惑だったよね。....今まで振り回してごめん。でも、それも今日で最後にするから。.........明日からは、他人....。」
なんだよそれ。
俺が納得しないうちにどんどん話が進んでいく。