第10章 ちょっと昔のお話
「こんな感じかな。...ごめんね。長々と面白くない話。」
菅原は私が話終わるまで黙って聞いていてくれた。
何も言わないで居てくれた。
「...一人ぼっちの私に、 りょー君だけが優しくしてくれたの。どんな酷いことされても りょー君のことを、嫌いにはなれない。」
そう呟く私を、菅原は優しく抱きしめてくれた。
心地いい。
「....俺、 しずくのことなんも知らなかった。ありがとう。...話してくれて、ありがとう。」
「.....私、すごく嫌な女だよね。...... りょー君のことが大好きで、依存してるくせに、菅原のこともすごく好き。」
「そんなこと...」
「2人とも好きで、しかも、それを菅原に話して、いいよ。って、それでも私を好きで居てくれる。って言ってくれるのを待ってる。最低だ。ごめん。...好きになってごめん。」
そう言う私を菅原は強く抱きしめ直した。
「大丈夫だから。 しずくがどんな奴でも、好きでいるから。...だから。」
第11章へつづく