第10章 ちょっと昔のお話
それは、私が中学3年生の頃。
《○○県××市で衝突事故が起こりました。この事故で、乗用車に乗っていた母親と父親が重傷で病院に運ばれましたがまもなく息を引き取りました。中学3年生の娘が軽傷で病院に運ばれました。また、トラックを運転していた男性も意識不明の重体です。____以上午後のニュースでした。》
この事故で私の世界は一気に変わってしまった。
今までのキラキラしていた日々が嘘のように。
幸い、両親の保険金や貯金などで生活には困らない。
しかし、何もやる気が起きず、しばらくは学校にも行っていなかった。
夜になるとどうしょうもなく虚しくて家を出て街を徘徊していた。
何もかもがどうでもよくなった。
そんな時 りょー君に出会った。
「君、昨日も居たよね?変なオヤジに声かけられてたけど.....。女の子がこんなとこ一人で歩いてたら危ないよ??」
優しく声をかけられた、だが、その時の私にはただ鬱陶しいだけだった。
「私がどこで何をしていようが、貴方には関係ないですよね?私に構わないでください。」
冷たく言い放った私に、それでも りょー君は優しく言った。
「でも、ほっとけないから。きっと、ご両親が心配してるよ?俺、送るし帰りな。」
「.....そんなのいないし。」
訳ありな私の様子を察してか りょー君が提案した。
「じゃぁさ、ご飯食べに行かない?俺、お腹空いちゃって。」
さっき会ったばかりの知らない男に多少の不信感もあったはずだが、この時の私にはそんなことどうでもよかった。