第9章 視聴覚室
しずくを見つめる。
涙が流れた。そんなことに構っていられなかった。
「.....泣くとか、意味、わかん、な、い。」
そう言った しずくの目からも涙が溢れていた。
しずくを抱きしめる。
昼休み終了のチャイムが鳴り響く。
「授業始まったよ、....戻んなくていいの?受験生。」
しずくが言う。
俺はまだ しずくを抱きしめたままでいる。
「.....一緒にサボんべ!」
そう言って笑った。
「......意外。菅原ってもっと真面目なんだと思ってた。」
そう言って しずくも笑った。
「............ねぇ、私の話、聞いてくれる?」
しずくが俺を見上げながら言う。
「!...あぁ。もちろん。」
「...........ありがと。」
聞こえるか聞こえないかの声で呟くと、 しずくは再び俺の胸に顔を埋めた。
第10章につづく