第9章 視聴覚室
今日、 しずくは学校に来ていた。
しずくに少し話を聞くことぐらいできるんじゃないか?
そんな期待をしながら休み時間になるごとに しずくのクラスに足を運ぶ。
「田中。 しずくいる?」
昼休み、授業終了のチャイムと同時に自分のクラスから しずくのクラスに走ってきた。
「それが、待ってろって言ったのに、知らない間にいなくなってて。次は捕獲しときます!」
捕獲って......。
そんな時、クラスから話し声が聞こえた。
「やっぱ、 桜山さんってちょっとおかしいよね。」
「私も思った。1週間も学校休んでてやっと、来たと思ったら授業ずっと上の空で。」
「俺、 桜山の隣だったから見えちまったんだけど、あいつの顔、痣があったぜ。ここんとこ。結構強く誰かに殴られたんじゃね?誰かと殴り合いの喧嘩したとか?」
「えー!怖ーい。やっぱヤバい人達とつるんでるって噂、ホントだったんだ!」
しずくのこと話してる。
............なんか、すげームカつく。
「....そんなんじゃないよ。 しずくは。確かに誤解されやすいかもしれないけど、 ちゃんと知りもしないのに、 しずくのこと悪く言うな。」
頭よりも口の方が先に動いていた。
しずくの話をしていとやつらはポカンとしていた。
「あっ....悪い。.....田中!じゃぁ俺行くわ。」