第9章 視聴覚室
あれから、1週間がたった。
しずくは一度も学校には来ていないらしい。
菅原にはもう合わないから。
しずくのその言葉が気になる。
「菅原ーーーっっ!ボール行ったぞっ!!」
「へっ?!」
やべっ。
朝練中だった。
「菅原、大丈夫か??練習中にボーっとしてるとか、お前らしくないぞ。」
「悪い!ちょっと、考え事してて.......。」
部活終了後。
「菅原さん。考え事って... 桜山のことっすか?」
西谷が言う。
「え.......なんで?」
「 桜山。今週、学校休んでるじゃないっすか。そのことかなって。なんか原因、知ってるんすか?」
西谷のまっすぐな視線が突き刺さる。
「えっと........。」
つい言葉に詰まってしまう。
その時。
「あーー!! 桜山じゃねーか!お前、1週間も休んでなにしてたんだよ?!」
田中の声が聞こえた。
........ しずく!
俺は体育館の入り口までかけよった。
少し遠く、校庭を歩いている しずくを見つけた。
口元のマスク、この暑いのに、がっちりと長袖のカーディガンを着て、首元や脚には所々、絆創膏も貼ってある。
「 しずく!!」
しずくに聞こえるように大声で呼んだ。
俺の声には気付いたようだが、そそくさと走って行ってしまった。
「...............っ。」