第25章 臨時マネージャー0日目
「はぁ!?臨時マネージャーのこと 桜山さんに伝えてない?!」
澤村先輩が大きく声を上げた。
「いや....伝えなきゃとは思ってたんだけどな?断られそうで言えず、今に至るみたいな。」
菅原が肩を落とす。
これで今までバレー部員にかけられた意味のわからなかった言葉達の真相がわかった。
つまり、みんなは、私がバレー部の臨時マネージャーになることを承諾したと思ってたわけで。
その話を菅原から聞いていなかった私だけが頭上に?を浮かべていたと。
「...................ごめん!しずくなら、最近よく部活も見にきてるし、一人暮らししてるから家事全般得意そうだし適任だと思ったんだよっ!ただ、なかなか伝えるタイミングが................。」
「だからって勝手に決めないでよ。こっちにも予定ってものがあるんだし。」
「ごもっともです。」
そんな話をしていると、眼鏡をかけた1年生に手招きされる。
彼は私にあわせて屈むと小さな声で耳打ちする。
「先輩、恋人の合宿気にならないんですか?うちのバレー部にも女子マネージャー2人いて他校の可愛いマネージャーも来るかもしれないんですよ?」
「...そ、それは。」
控えめにいってすごく気になる。
「それにほら、合宿中は菅原先輩ともなかなか会えなくなっちゃいますし、それならマネージャーとして合宿参加した方が良くないですか?」
..............................................。
私が言えたことじゃないけど........このこなかなか良い性格してる。
「で、どうします?先輩。」
そう言って私に笑いかける。
「.......................や、やります。」
「まじで!ありがとう!しずくー!」
菅原は私に満面の笑みを向ける。
私はやはり菅原のこの顔に弱い。
「よかった。 桜山さん、ごめんな。合宿相手の学校はマネージャーいないから助かったよ。」
マネージャーはいない?
私はさっきの一年生を睨む。
「なにか?」
「なんでもない。」
やられた。