恋の乱 〜 才蔵さんとの初めての夜【R18】【裏】
第1章 一
「俺が怖い?」
「…い、いえ…」
「嘘、無理してるね」
才蔵さんの手が私の少し汗ばんで乱れた前髪に触れ、撫でつけてくれる。
「本当はこういうことは急いでするもんじゃないんだけど…」
「…」
才蔵さんは視線を外さずに言葉を続ける。
「でも…俺のこと知りたいって言ったのはお前さんだよ?俺もお前さんのこと知りたいし。」
そう言って目を細めて微笑みかけられる。
「…」
大きな手で優しく頬を包まれる。
「死ぬ思いでお前さんを手に入れたんだから。
もう離さない。誰にも渡さない。」
じっと見つめられる。
こんな饒舌な才蔵さんは初めてだ。
いつもは飄々として言葉も少なく、何を考えているのか表に出さない人だ。
「…好きだ。…もう失いたくない…。
全てを俺のものにしたい。
でも、お前さんの気持ちが追いついてないなら…」
ああ、あの才蔵さんが自分の気持ちをここまで言ってくれるなんて…。
私のことを大切に思ってくれているということを感じ、心の中が嬉しさで満たされた。
そしてもう一度才蔵さんの背中に手を回し力いっぱい抱きしめた。
「ん…?」
「私も…。才蔵さんのことが大好きです…。
だから…。大丈夫です…。」
「いいの?」
「はい、もう怖くない…」
「ん。なるべく優しくするつもり。
でも、怖かったら、言って…」
言葉が終わり、また口付けられる。
舌が差し込まれ、今度は私も舌を絡めて応じる。
息をするのももどかしいような口付け…。
しばらくクチュクチュと水音を響かせた。
うん、怖くなんてない。
大好きな才蔵さんなら、どんなことをされても。
お互いの唇が離れた時に耳元で囁かれる。
「全てを…俺に…任せて…」