恋の乱 〜 才蔵さんとの初めての夜【R18】【裏】
第1章 一
才蔵さんは、私の乳房をもてあそびつつ器用に自分の着物を脱ぎはじめた。
衣擦れの音がしていたが、すぐに下帯だけの姿になった。
乳房から顔を話した才蔵さんは、私の顔の横に手をついてじっと私の目を見つめる。
「ねえ、俺を見て」
「え?」
「俺だけを感じて」
そう言われて才蔵さんの顔や体を改めて眺める。
いつになく穏やかな顔つき。
切れ長の目は女の私がどきっとするほど澄んで、艶やかだ。
胸板はたくましく、引き締まって均整のとれた体。
私はこれからこの人に…。
そう考えるだけでくらくらしてくる。
「俺もお前さんだけを感じたいから…。」
そう言うと才蔵さんの顔が近づきまた優しく口づけを落とされる。
私は不安を紛らわすため、才蔵さんの肌のぬくもりを感じたくて背中に手を回した。
家族以外の男の人に自分の裸を見られるのも、このように触れられるのも初めてだ。
とはいえ、同世代の友達の話や春画などで男女の営みについてはひととおり知っていた。
自分は経験が遅いほうだと思う。
経験済みの友達は最初は男の人に任せればいいと言っていた。
慣れれば気持ちのいいことだとも。
自分から求めたくなることもあると。
本当だろうか。正直、少し怖い。
口づけのあと、また才蔵さんは指や舌で私の胸に優しく触れる。
でも今のところ気持ちよさなんて感じる余裕はない。
自分でも緊張で体がこわばっているのがわかる。
でも、乳房に触れられていると、今まで感じたことのない感覚に体が包まれる。
くすぐったいような。
なんとも言えない感覚。
これが気持ちいい、ということなのだろうか。
才蔵さんの舌や指先は壊れ物を扱うようにとても優しい動きをしてくれている、と思う。
でも才蔵さんからすると私の様子は、ぎゅっと目を閉じ、されることに耐えている感じ、だったと思う。
それを見かねたのだろうか。
才蔵さんの動きが止まった。
私は「え?」と思い、恐る恐る目を開けた。
すると、困ったような、でも優しい表情の才蔵さんと目が合う。