第3章 小さな好敵手ー木兎光太郎の場合ー
『木兎くん…居た?』
「いや…」
俺は首を横に振る
あれから1時間探し続けたが
一向に見つからない
どこ行ってんだよ…
『どうしよう…私のせいだ…
私が…』
「泣くな、xxx」
俺はxxxを優しく抱きしめた
『木兎くん…』
俺の背中に回してきた腕は小さく震えていた
「もっかい探してくる
xxxはここで待ってて」
俺はすっかり暗くなった遊園地を走った
地元の遊園地とは言え
遊園地ってこんなに広かったっけー…
俺は肩で息をしながら走る
「幸太郎ー!」
人気のないエリアで
幸太郎の名を呼ぶ
「おーい!
幸太郎ー!!」
ガサッ
「!?」
小さな木から物音がする
まさか…オバケ!?
いや…ないないない
俺は勇気を振り絞り声をかける
「幸太郎…?」
「おじ…さん」
そこには足を怪我した
幸太郎が座っていた
「幸太郎!
こんな所にいたのか」
俺は幸太郎を抱き上げた
「めちゃくちゃ探したじゃねぇか、バカ野郎」
「ごめんなさい…」
「別に怒ってねーよ
幸太郎が無事でよかった」
俺は優しく幸太郎の頭を撫でる
すると幸太郎は今まで我慢してたのが
溢れ出たように声を上げて泣いた
やっぱりこいつもただの子供なんだな
ただ、甘え方を知らないだけなんだ