第2章 作成中!
自然に目が覚めた。まだ朝日も登らない、普段早起きの祖父母もまだ寝ている程の早朝。起きるには早過ぎる為、また寝直そうと試みるが何故かなかなか寝付けない。
だんだんジッとしているのも疲れてきて、身体を起こす。と、目に入った頭上の巻物。どうせ開いても読めないし、それ以前にこの暗さでは細かい文字など見える訳もない。けれど、
(・・・何か気になる。)
いつの間にか手が伸びていて、巻物を手に取り、開いた。目が慣れていたせいだろうか、何となく文字が見える。
ふ、とあることに気づく。昨日見た時も確かにあった、文字のような記号のようなもので囲うように書かれた、掌サイズの円形。でも、確かその中は空白だったはず。なのに・・・今私の視界に写っているのは、何故か円形の中に浮かぶ、一つ文字。
「どうして・・・?」
私の見間違いだろうか、それとも私が知らない間に誰かが書いたのか。引きつけられるように、そっと、その文字に・・・触れた。
「・・・、っ!」
その瞬間グラリと視界が揺れ、気持ち悪さに目を瞑る。貧血か何かだろうか。ふぅ、と落ち着いてから、ゆっくり目を開いた。
「・・・・・・」
・・・・・・・・・え?
・・・ここって、確か夢で・・・・・・
「大層驚いた顔をしておるな。」
反射的に声のする方に顔を向ける。そこには白い服に身を包み、笠を被ったおじいさんが、隣に立って私を見下ろしていた。その顔は優しく穏やかで、悪い人ではないのだと幼い私でも分かった。
少しホッとした時、手にしていたはずの物がないことに気づく。
「あれ、巻物・・・」
「これか?」
キョロキョロする私に、おじいさんが差し出したのは紛れもなくあの巻物。それを受け取ると、おじいさんは少し切ない顔をしたような気がした。
「きっとお主とはまた会うことになるじゃろう。」
「え・・・?」
「己を変えたい。そう思うた時、この巻物を開くのじゃ。」
今はまだその時ではない、と、おじいさんに頭を撫でられる。すると急に眠気が私を襲い、どういう意味かと聞きたくても、もう声も出せそうにない。
「待っておるぞ。」
そんな優しい声を最後に、私の意識は遠退いた。
目が覚めると、私は巻物を握り締めていた。あれは一体・・・。何となく、普段見るような夢とは違う感覚を子どもながらに感じていた。