第2章 作成中!
あれから半年程経ち、あの夏の出来事はもうすっかり忘れてしまっていた。
そんな私は中学生になった。小学校の同級生のほとんどが共に進級し、きっと楽しい生活が待っている。
そう思っていた。
「・・・辞めさせて下さい。」
夏休みが過ぎた頃、私は部活を辞めた。ケガというのは口実で、部内の女子独特の嫌な空気に耐え切れなかったのが本当の所。
小学生から中学生に上がってまだ数ヶ月。たった数ヶ月で、環境や人はこんなにも変わるのかとショックを受けた。
自分自身には友達もいるし、いじめられてる訳でもない。でも、いじめ自体がない訳ではない。同い年なのに格差が存在し、人の目を気にして過ごしている。
そんな多感な年頃が集うことで起こる、不穏な空気が漂うこの学校が、何より今の自分が、とにかく嫌で仕方がなかった。
「ただいまー。」
「おかえり。」
変わらないのは家族だけ。家族は唯一安心できる存在。
そんな中、私も思春期に突入し、私の心はとても不安定になっていた。
ある日の晩。心配事があると眠れなくなる私は、少しでも気持ちを落ち着かせようと机周りの整理を始めた。一番下の大きい引き出しを開け、中身を全部出す。
「・・・これ、」
小学校時代のプリントや教科書と共に現れたのは・・・ずっと忘れていた、あの時の巻物。
“己を変えたい。そう思うた時、これを開くのじゃ。”
突然思い出した、あの時、夢で会ったおじいさんの言葉。シュル・・・と巻物を開けば、あの時と変わらない文字と、それで形作られた掌サイズの円形。
「・・・うっ!」
自然とひきつけられた手が円に触れると、あの時と同じく激しい目眩のような感覚に襲われる。気持ち悪くて、目を瞑ってしゃがみこむ。
一瞬身体が浮き、その後一気に重力がのしかかった。吐き気を抑えようと暫くそのままでいると、
「・・・おい、」
と、上から声が聞こえた。恐る恐る顔を上げると・・・そこには私を恐い顔で見下ろす男の子。