第8章 @ 日向翔陽
「雨降ってる…さっきまで降ってなかったのに。」
『ほんとだ…傘持ってる?』
「持ってない…」
体育館から寄宿舎に戻るには、どのルートを通っても外に出る。
二人で途方に暮れていると、体育館の扉にかかったビニール傘を見つけた。
『あっ、翔陽傘発見!』
「おっよかった!濡れなくて済む!」
日向は傘を差して左手を絢に差し出す。
その手を握って、二人で雨の中に駆け出す。
その中で、黒尾のレシーブが上手いだとか、木兎のスパイクがやばいだとか、月島のブロックがいい感じだとか。
またもや日向はバレーのことを夢中になって話す。
はっ!と気づいて、また平謝り。
そんな様子がやっぱりおかしくて、絢は終始笑いっぱなしだった。