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相合い傘 ▷ あめいろ。

第7章 @ 黒尾鉄朗





「よしっ行くか。」


そう言って黒尾は着ていたジャケットを脱ぐ。


『…はい?』


「え?」


『…それ、なんで脱いだの。』


「ずぶ濡れ防止。」



絢は目を丸くしたが、黒尾はまるで当たり前だろとでも言いたげな表情をしている。



「鞄、ちゃんと抱えてろよ?中身濡れるからな。」


『クロはどうするの…』


「俺は濡れても平気。」



そう言って黒尾は自分の着ていたジャケットを絢の頭に被せた。


それを絢はすぐに振り払う。



「…風邪引くだろ?」


『クロも風邪引くでしょ。』


「馬鹿は風邪引かないから平気だろ。」


『どうせなら一緒に風邪引こうよ。』



真顔で言う絢がおかしくて、黒尾は思わず吹き出す。


ぷくっと頬を膨らませて怒る絢の頬を指でぷにぷにした後、被せようとしたジャケットを二人で被るために、黒尾は腰を屈める。




「…辛かったら言えよ?」



そう言って黒尾は絢の肩を抱いて雨の中を走り抜けた。



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